10年に及ぶ、男女の切ない恋愛を描いた前作、『 冷静と情熱の間 』、から何年経ったでしょうか。 文庫本の歴代ベストセラーにも入っていました。 20代の前半を思い出します。^^ 今回の小説は、隣同士の家に住む、男女の幼馴染が主人公。 茉莉の視点で江國さんが描いた、『 左岸 』 。 九の視点で辻さんの描いた、『 右岸 』 。 人生は長く広い河のようなもの。 両岸(お互い)は、近づいたり離れたり。 子供時代から、50代に至るまでの、ふたりの軌跡。 かなりの長編です。 テーマはまさに人生。 愛するものとの別れ。 死別もあれば、心のすれ違いもあって。 それでも生きていかなければならないという普遍的なもの。 物心ついた頃から、茉莉に魅かれる九。 自由奔放に生きる茉莉。 時間軸に沿って、お互いの気持ちをそのときどきで、読み進めるとより対比が際立って、ラストに納得がいきます。 特に、右岸のほうは、九の超能力とか霊感とか輪廻とか。 ある部分傾き過ぎかなと思うところも、左岸で描かれる、茉莉の刹那的で現実的な生き方で、バランスを保っている感じが勝手にしました。 人生折り返し地点が近づけば近づくほど、茉莉の人生が、ぐっと心にきます。 『 左岸 』 が好きでした。
by chocoeri-books
| 2010-06-10 20:24
| 小説(女性作家)
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