東京浅草近くの下町で育った佳代。 中学の卒業前に、突然両親が失踪してしまう。 まだ小さな弟を抱え、卒業と同時に、小学校の給食室で働きながら、必死に生きてきた佳代。 30代を過ぎて、ある決心をして仕事をやめる。 それは、移動調理屋をしながら、全国をめぐり、両親の足跡をたどること。 如何様にもにも調理いたします。との看板をかかげ、ちいさなワゴンに備え付けられたキッチンで、調理屋をする佳代。 名付けて、佳代のキッチン。 両親の行方探しの手段として、始めた移動調理屋には、さまざなな事情を抱えた人がやってきて…。 不思議な出会いに導かれ、両親の足跡を追って、遠く北海道までたどり着く佳代。 70年代の若者が追い求めた理想郷、コミューンの一員だったらしい両親。 彼らの過去を知るたび、つらい思いをする彼女。 両親とかかわった人たちとの出会い、彼らの話を聞くたびに、描いていた両親象、憎しみの気持ちに少しずつ変化があらわれて。 捨てられたと思ってきた自分は、彼らを許すことはできないけれど、受け入れることはできるかもしれない、そう思えるように。 結末はあっけない。 でも、それでいいような気がしました。 オリジナルな料理の描写も細かくて、おなかがすく感じ。 これから、ちょっと楽しみな作家さんです。
by chocoeri-books
| 2011-10-04 20:20
| 小説(男性作家)
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